量子宇宙研究コア (物理分野) の概要
量子宇宙研究コア (物理分野) では,素粒子物理学・宇宙物理学・原子分子物理学など物理学の様々な分野で発展した知識・技術を元に,基礎物理の新たな法則:素粒子標準理論を超えた物理モデル構築につながる実験事実を探求することを目指して研究を進めています.
研究の鍵となる技術である高性能レーザーの開発を始め,高性能検出器の開発,量子コヒーレンス性の高いターゲット開発,分子冷却技術の開発など,様々な技術開発を独自に進め,世界に一つしか無い実験装置を使って研究しています.
現在の研究内容
SPAN
ニュートリノ研究と言えば、巨大加速器や巨大検出器を思い浮かべる方が多いかと思います。
我々の提案する方法は、通常の実験室で標的になる原子や分子にレーザーを照射し、その反応からニュートリノの性質を明らかにするものです。この時、鍵を握るコンセプトは、「量子干渉性を利用し反応を増幅する」という新しい工夫です。
同じ技術を応用し,暗黒物質の最有力候補である「アクシオン」の探索も狙って研究を進めています.
Thorium 229
トリウムの放射性同位体229 (229Th)は,原子核の第一励起状態が約8 eVと非常に低いエネルギーにあることが知られており,レーザー励起が可能な唯一の原子核として期待されています.原子核の遷移は電子遷移に比べて外乱に強いため,究極的な安定度を持つ周波数標準としての応用が期待されており,世界各国で激しい開発競争が繰り広げられています.
我々のグループはSPring8の高輝度X線放射光を使った独自の方法で229Th第一励起状態のエネルギー確定や,それを応用した原子核時計の開発を目指して研究を進めています.

Ultracold Molecule
過去20年,レーザーを使って原子を冷却する技術が飛躍的に発展し,現在では温度数百ナノケルビン (ナノは10-9) と,絶対零度に限りなく近い原子気体を生成できるようになりました.レーザー冷却に関連した分野の研究者に1997年,2001年,2012年にノーベル物理学賞が贈られています.その一方で分子の冷却はまだまだ発展途上で,温度はせいぜい数ケルビン程度までしか冷却できていません.
冷却分子は電子の永久電気双極子モーメント探索実験でも用いられている他,極性分子を使った量子コンピュータ開発など様々な分野への応用が期待されており,極低温へ冷却する技術は今後ますます重要性を増していきます.
我々の研究室では分子を極低温へ冷却する技術開発も進めています.
What's new
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- 2025年4月30日
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高エネルギーニュース掲載New
当研究室も参加しているJ-PARCでのMuon加速の記事が、高エネルギーニュースに掲載されました。当研究室で製作した244nmパルスレーザーについて記載しています。
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- 2025年4月28日
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高取さんが第一著者のTh:CaF2結晶の構造解析に関する論文"Characterization of the thorium-229 defect structure in CaF2 crystals" がNew Journal of Physics誌に掲載されました。
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- 2025年4月15日
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研究室の新メンバー歓迎会を開催しました。
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- 2025年4月10日
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KEK主催のQUP workshopで吉村が招待講演を行いました。
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- 2025年4月4日
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京都大学の高橋研究室を訪問し、各種レーザーをお借りしました。
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- 2025年4月3日
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4/3、毎年恒例(?)の半田山植物園にお花見に行きました。
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- 2025年4月2日
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大阪大学の南條さんとKEKの塩見さんを講師に迎え、KOTO実験の講演をしていただきました。
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- 2025年3月27日
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トリウム関係の研究打ち合わせで、理化学研究所の山口さんの研究室を訪問しました。
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- 2025年3月25日
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2024年度学位授与式が行われました。当研究室からも多くの学生が学士・修士・博士を授与されました。
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- 2025年3月25日
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2024年度修士論文発表会において、清水が優秀修士論文発表賞を受賞しました。